満月の夜に

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「あぁぁぁうわぁぁぁいやだぁぁぁぁやめてぇぇぇ」 普段よりまぶしいような月明かりの下で、僕たちは逃げ続けなければいけない。 だってまた後ろで、また叫び声が聞こえる。 そして、グチャリ、グシャリ、ゴリッ、グチョ。 一人、また一人と次々に食べられてしまい、残るのはあと五人くらいになってしまった。 大人たちは助けてくれない。 自分たちだけで生き延びなければならない。 月が煌々と輝いているせいか、足元がはっきりと見えていたので走りやすかった。 ……月? 外を見上げると、空には月が輝いていた。 コンパスで綺麗に線を書いたみたいな、まんまるの満月が輝いていた。 この村には満月が来ないと言っていたのに、来ている。 そういえば、大人たちが満月とか何とかと呪文を唱えていたような気もする。 どういうことなのだろう。 しかし、考える時間は少なかった。 一人をまた食べ終わったようで怪物が迫ってくる。 今、怪物からいちばん距離が近いのは僕だ。 急いで走るが焦っていたからだろう、木の根につまずいて転んでしまった。 怪物は、すごい勢いで迫ってくる。 もうダメだ、と思い目をつぶった時だった。 グシャ、という音がした。 驚いて目を開くと、怪物にそこそこ大きい石がぶつかっていたのである。 怪物は少し痛そうに、うめいている。 今がチャンスだ。
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