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不器用な出会い
ウォールナット柄のテーブルに、色鮮やかな料理が並ぶ。
どれもこれも見慣れない美味しそうな料理が並ぶたびに、女の子が嬉しそうな声を上げる。聖を除いて。
「それじゃ、乾杯!」
コツン、とグラスをぶつけながら言葉がつっかえてうまく出てこなかった。
いやいや、ちょっと待って。自分は打ち合わせに来たはず。そう、社内冬のスポーツ大会。
ちゃんと書類も持ってきた。筆記用具も。それなのに、自分が今手にしているのはシャンパン。
初めて飲むけど美味しい。しかも飲みやすい。料理にも合いそう。だから、そうじゃなくて。
「えっと、自己紹介する?みんな同じ会社内だけど」
少し上擦った男の声を聞きながら、聖はゆっくりと状況を飲み込んでいく。
「いいね、ザ・合コンって感じ!」
楽しそうな声に、聖はピシリと固まった。
合コン・・・とは。
こんなお洒落な居酒屋で、こんな事になっているのか、全然意味が分からない。
分かっているのは鞄に入っている“冬のスポーツ大会”の書類は裏紙になるという事だけだ。
自己紹介は男性から始まった。同じ社内ということもありほとんど見知った顔だ。
隣に座っている雪を突く。言いたいことが山ほどあるが、この雰囲気ではなかなか話せない。
元々感情を出すのは苦手だし、ここで問い詰めたら嫌でも注目を集めてしまうだろう。
この場の雰囲気も壊したくない。
「雪、合コンって、何」
ヒソヒソと、短い言葉を並べる。
雪は自己紹介に拍手をしながら、「タイプな人いますか?」と微笑んだ。いやいや、だから違う。
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