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なるほど。
橘は小さく笑った。
「・・・俺、牧原さんの手好きだな〜」
これは本当。
掌だけでなく手の甲まで、肉付きがよくて触り心地が良い。
この手で色んな所を触って欲しいし、触ってあげたい。頬擦りしたら最高に気持ちよさそうだな。手だけじゃなくて他のところも、なんて男なら想像してしまう。
すべすべとした感触を楽しみながら、橘は聖の顔を覗き込んだ。意図的にそうした。手を触れられて見つめれば、女の子はみんな顔を赤らめる。何度も経験してきた事だ。
一磨の話をしていた時のように真っ赤になればいい。
そう思っていたのに。
「・・・?」
彼女は軽くひいていた。
冷めた目に見返され、目論みが外れた事を知った。深いため息が漏れる。
「・・・それは予想外だわ、牧原さん」
「・・・はあ」
「その荷物は大変でしょ。郵便局まで送るよ、俺車あるし」
握っていた手を離し、ポケットから車の鍵を取り出した。それを見て「いいんですか?」と驚きながらも少し嬉しそうにした彼女は、年相応で可愛いく見えた。
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