第9章 諍い、そして氷解

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 僕たちが婚約しても、兄の真古登は綾瀬家に対して気を許さず、警戒していた。不信感を露わにする兄の態度を軟化させたのが花奈の母親からの手紙だった。心のこもったこの手紙が元松家と綾瀬家の紐帯の役割を担ってくれた。  参列者の愛に包まれて、結婚式が執り行われた。  ……自分の両親がここにいることができたら良かったのに……  僕は思った。きっと二人とも心から喜んでくれただろう。  淡いクリーム色のシルクのウェディングドレスを身に纏った彼女は愛らしく、綺麗だった。  一生彼女を大切にし、守っていきたいと思った。
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