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花奈の希望もあり、新婚旅行は氷河を見に出掛けた。
そして実際に顔も耳も感覚がなくなるくらいに冷えたところで氷河に出会い、僕は何故彼女がこの地を新婚旅行に選んだのか、わかったような気がした。
海からの湿った空気が山々にぶつかり、大量の雪になる。そして降り積もった雪は密度と硬度を増して氷塊となり、自身の重みで底面がとけて、絶えず、低い所に向かっていく。それから天に登り、雪となって舞い降り、同じ道を繰り返す。
氷河は生きている。そして輪廻転成を繰り返す。
僕たちもきっと同じ道を進むのだ。
彼女は何度生まれ変わっても、僕と一緒にいたいということを言いたかったのではないだろうか?
一滴、一滴、ぽたぽたと時を刻みながら消えていく氷塊を見ていても、それでも僕たちは何度出会っても、何度も一緒になれる気がしてくるから不思議だ。
いつの間にか僕は氷河のかけらを口に含んでいた。長い旅の途中の氷塊は、冷たく、熱く、僕の細胞にとけていった。
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