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第10章 数年後
花奈はスクールカウンセラーとして働き、子供たちの相談を受けている。彼女が責任の重圧に耐えかねるだろうかと心配したが、そんなことは杞憂だった。彼女なりに子供の立場を考えて堅実にしっかりと対応しているようだ。何度泥まみれになっても立ち上がるエネルギーがある彼女だからこそ、できる仕事だと思う。
人生の苦難の味を舐め尽くせば、自分の臆病さや弱さ、醜さを知るだろう。それを知った上で湧いている彼女の挑戦の意志こそ子供たちを救えるのではないかと考えている。
彼女の肺腑を突いてくる相談も多いと聞くが、相談者はカウンセラーの人生観で生きるわけではないので、相談者が摘みあげることができる芽がいくつかあることを示唆するにとどめているという。確信に満ちた回答は危険だと考える辺りがいかにも彼女らしい。
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