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「ただいま」
花奈が仕事から帰ってきた。帰りにスーパーに寄ってきたのだろうか? 重そうな買い物袋を手にしている。
「その袋は持ち歩くのが大変だろう? 買ってきた物は冷蔵庫にしまっておくから、とにかく座って」
「大丈夫よ、このくらい。すぐ料理するわ」
「でもその袋は貸して。料理も疲れたら、止めるんだよ」
僕は彼女から買い物袋を奪い取り、自分の唇を彼女の唇に寄せた。
「……もう……心配性……よ……」
僕は彼女の言葉を遮るようにキスをする。じっくりと。長く、激しく。
「あっ」
思わず、声をあげてしまった。
「感じた? 赤ちゃんが動いたでしょう?」
彼女は膨らんだお腹を僕にすり寄せた。僕も彼女のお腹に耳を寄せる。彼女、そしてお腹の中の小さな命を愛おしく感じる。
花奈には新しい命が芽生えた。もうすぐ産休に入る予定だ。
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