第10章 数年後

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「このままだと法的措置を取るぞ」 という僕の諫言に狼狽した佐川貴美はすぐに単身でアメリカに渡った。  オーディションを受けてインディーンズ系の映画の主演が決まり、撮影が始まったらしい。貴美の兄役を演じる日本人俳優に役作りの相談をしているうちに恋に落ち、いい仲になったようだ。  ちなみにこれはニューヨークの銀行を紹介してくれたアメリカに住む友人からの情報である。  僕は活動の拠点を日本に移し、母国語で小説を執筆している。事故で中止となった講演会に対するお詫びの気持ちとして、関東地方を周り、講演旅行もしたりした。
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