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幸い、母国語の作品も次々とベストセラーになった。しかしただ水に合っていたというだけではなく、発表前に母国語の原稿の山を築いたことが力になっていた。書くことに難渋すると僕はいつも原稿の山を見つめた。僕はこれだけやってきたのではないかと……。僕はこれからニューヨークを凌ぐ魅力を持った舞台を日本で創り出すことを試みてみるつもりである。
そんな中、ある編集者から電話があった。その編集者の申し入れは僕にはいささか変わっていた。自分をモデルにして小説を書いてみないかというのである。
引き受けてしまったのは酒を飲まされたからだ。こんな風に書けば、僕に原稿を書かせるために、タダ酒を飲ませようという編集者が現れるかもしれない。
しかし本当のところは過去の自分を見つめ直してみたいところを突かれたからだった。
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