第1章 悲しみ

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「僕はこのお見合いをお受けしようと思っています。幼い頃、両親が交通事故で亡くなり、祖父が経営してきた会社を今は年の離れた兄が継いでいます。家族のためというのもありますが、僕はあなたと自分の知らない温かい家庭というものを築いてみたい」 いかにも教養を感じさせる低い声。  落ち着いた黒い瞳が花奈を見つめていた。花奈は頬を赤く染めながらも、良裕の言葉に天にも昇る心地だった。
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