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私はベッドの上で窓の外を眺めていた。
外には私の死を待つ者たちが、鋭い眼でこちらを見ている。
あの飢えた亡者たちは、その見た目から怖がられ、頭の良さから恐れられる。目を合わせれば誰もがそのさまに驚き、魅入られるのだ。
生きようと必死の眼で、私の死を今か今かと待っている。私も、その眼に魅入ってしまった。
黒装束の亡者らは獲物である私を、今もなお見つめている。既に私の命はここになく、意識だけが存在しているに過ぎないのではないかと思えてくる。
いや、実際にそうなのかもしれない。
もう私の命はなく、ただ意識だけが存在しているのだ。命のない肉体は、食事の時間だと荒れ狂うばかりの亡者らに貪られる。いまに、ほら始まるだろう。
ここが私の棺桶なのだ。あの冷たい箱の中とここは何も変わらない。ここの外には黒装束をまとったヤツらもいる。
ヤツらが黒装束なのはこのためかと、私は一人納得した。
ヤツらの空腹を満たし、行く場所のなくなった私はヤツらに連れられ、空を飛んでどこへ行くのだろうか。ヤツらは天国にでも連れて行ってくれるのだろうか。もしかしらーーー
そんな思いを最後に、私の意識は遠くなっていった。
空も飛べるヤツらは死神なのかもしれない。
ほら、私の死を唄ってくれている。
「かぁーー、かぁーー」
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