エンドロールに向けて

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中学一年、春。 キラキラのクラスメイト達。 中でも頭も良くて可愛い子達。 わたしは……? 聞かないでほしい……妄想に明け暮れる地味子ちゃんだ。 いいじゃないか…楽しいし…。 となりのクラスになってしまった幼馴染が二人、帰りを待っていてくれた。 「帰ろ?」 「あれ?いっぺいは?」 坂倉一平は三軒先の家の幼馴染。 今井加奈、坂倉一平、そしてわたし、高田 萌、幼馴染で幼稚園から一緒だ。 何となく一緒…特に意味はない。 嫌いでもないし、大きくなればそれぞれに友達もいる。 わたし以外は…。 「ああ、クラスでカラオケ行くらしいよ?わたしは苦手だからパスして来た。」 笑顔で加奈が言った。 「カラオケ……人前で声を出して歌うなどあり得ない…。」 「いや……そこ暗くなる?」 「一平はもはや雲の上の住人か……。」 「天上人か!まぁ、呼べば降臨するんじゃないの?」 加奈は笑いながら言うが、加奈自体、天上人になりつつある。 短いスカート、可愛い髪型。 色付きのリップなど、いつから付け出したのか……。 (置いていかれる…。地味子のまま成長出来ずにいる。) 考えると危機感と焦燥感、でも妄想を始めれば安心感と平穏がある。 そんな時に手に入れた。 古本屋で偶然に見つけてしまったのだ。 (ふっふっふっ…………。これで、わたしの人生は思いのままだ!!) 野望は始まった。
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