エンドロールに向けて

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「萌?今度一緒に勉強しない?教えてよ?」 高校2年で同じクラスになった今井加奈が、話し掛けてきた。 「勉強?私が加奈に教えるの?いやいや……無理でしょ?」 記憶にあるのは中学卒業の加奈の成績。 進学校に余裕で合格出来ると言われていたのだ。 「何言ってるの?この前のテスト、貼られてたでしょ? 萌、学年50番に入ってるじゃない。私、200にも入ってないよ?」 加奈の言葉にキョトンとした。 (何を馬鹿な……。そんな目立つ成績など、私が取れるわけがなかろう…。) ふっふっと笑い、加奈に不敵な笑顔を向けた。 「まぁ、一緒に勉強するのはいいけど、私の部屋は駄目よ?大事な物が沢山あるの。」 「まぁ、うちでいいけど…。そうだ、一平、サッカーしてるでしょ?今度試合出れるんだって。レギュラー。応援行かない?」 「それはそれは……。さぞやモテモテな高校生活を送っているんだろうね…。 天上人か……。」 (ふっふっ…。今のうちに楽しむがいい……。) 私の野望は最後の最後! 映画で言えば、エンドロールに名前が乗るような物だ。 小さくていい、端っこでいい! エンドロールまで、走り続けるだけなのだ!
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