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途中経過
何年か振りに加奈の家にお邪魔した。
随分、部屋の印象も変わっていた。
「可愛いね…。」
「そう?」
お茶を出してくれて、一緒に勉強を始める。
「ねぇ、この数式は?」
「ん?これはこの公式を当てはめる。」
「こっちは?」
「こっちは……えっと、これ、ここのページのこの公式。」
「………萌?」
「ん?」
「いつからそんなにポンポン公式出る様になったの?」
加奈に不思議顔で聞かれた。
「出るというか…ページを覚えてるだけ…。」
「でも、これはこれ、ってすぐに分かるの凄くない?」
「凄くないね…。私の野望には公式と化学式は必要不可欠なものなんだよね。」
淡々と宿題を進めた。
「前から気になっていたけどね?聞けなくて……。萌?ここ何年も一人で部屋で何してるの?バイトもしてるよね?長い休みとかさ?
野望って何?」
「申し訳無いけど…加奈でも言えない。これは人に話すと駄目になってしまうの。だから、全て終わったら話すね!大丈夫!犯罪じゃないし、悪い事でもない!加奈に迷惑は掛けない!私を信じて見守って!」
加奈は萌に手を握られて迫力に押された。
(ふっふっふ………。もうすぐだ!材料は着々と揃い始めている。)
一人部屋に帰り、並んだ材料を見た。
「待ってろ、天上人!降りて来い!」
萌が叫ぶと、外は大雨になり雷が鳴った。
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