4:バナナ男子は気づく

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4:バナナ男子は気づく

おれは君のことが大好きで、だから大切にしたい。 絶対に傷つけたりなんかしない。 大好きだから大事に、大切にするのはあたりまえ。 そう思ってたのに、君のことを泣かせてしまった。 「一緒にいて」 泣きながら君がいったこと。 おれは初めからそのつもりで君の前に現れたし、 なんでそんなこというのかわからなくて、 どうして君を泣かせてしまったのかわからなくて、 わからなくて君のこと抱きしめた。 いついなくなるかわからない、なんてそんなこと思ってほしくなくて。 おれはいつだって自分のしたいようにしていて、 それを悪いことだなんて思ったことなくて、 ただ時々、ため息をつかれたりとかすることはあったけどそれはおれじゃなくて相手の問題だと思ってた。 おれはおれ、だから。 それはかえたりなんてできないことだよね。 でも君を泣かせて、そんなことしたくなかったし、 するつもりなかったのに泣かせてしまって、 自分がしたくないのに、してしまう時があるんだって…おれは知った。 人間を見ていた時から不思議だった。 泣いたり怒ったり傷ついたり…なんでそんなことしているのかわからなかった。 でも皆、泣きたいわけじゃない。 怒りたいわけでも傷つきたいわけでもない。 そうなってしまうんだ。 多分それは心があるからこそ。 大好きな人を大好きだから大事に、大切にしたいってあたりまえだけど、すごく難しいんだ。 自分の知らない、わからないところで、大好きな人を傷つけてしまっているかもしれない。 それってすごく怖いよ。 今まで気にしなかった言葉、行動1つ、1つに、 大丈夫かな?大丈夫かな?って…不安でしかたない。 自分が自分の大好きな大事にしたい大切な人を傷つけて泣かせてしまうなんて思ってもなかったから。 一回、気づいてしまったらもう戻れない。 君を傷つけてしまうおれには二度となりたくないな。 不安で怖くてどうしようもないけど、 君のそばにいられないのはもっと怖いから、 だからおれはかわらなきゃいけないんだよね。 おれはおれだけど。 それでも大好きな君を大事に、大切にしたいから。 もっと、ちゃんと─、 いつの間にか君の口癖がおれにもうつってるのは、 それくらいには一緒にいたって証かな。 この先はどんな風になっていくのか、 かわっていくって不安だけど…楽しみでもあるんだね。 どうか明日はもっと君を大事に、大切にできるように。 どうか君とこれからも一緒にいられるように。 祈るんじゃなくておれ自身がそうできるように、 ‘ちゃんと’ね。するんだ。
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