始まりの手紙

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始まりの手紙

それまでは何の代わり映えもしないHRでの事だった。 2学期が始まり心機一転という事で席替えを行うこととなった。 くじを引いたその瞬間!幸運の女神は僕に微笑んだ。 遂に夢にまで見たクラスで1番人気者の佐倉さんの隣の席を勝ち取った。勝ち取ったのだ!!! 「守田くんよろしくね」 「あ、うん。よろしく……お願いします」 隣に座ってるだけでも嬉しいのに、にっこりと微笑んでくれた。 そんな佐倉さんに隠れて僕は小さくガッツポーズを決めた。 次の日の授業中 昼休みが終わったばかりの過酷な時間。 仲間たち(クラスメイト)が次々に睡魔に倒されていく中で、憧れの佐倉さんに醜態を晒すわけにはいかないのだ!と、目を擦り擦り僕も眠気と戦っていた。 勉強もできる佐倉さんは眠気などありません!とばかりに何やら一生懸命書いている。 何を書いているんだろう?と、こっそり見ているとバチッと目が合った。 佐倉さんは見られてバツが悪そうに顔を赤らめたかと思うと周りの隙を伺って真ん中で半分に折られた紙を僕の机の上に置いた。 薄い黄色の用紙を開くと和風なうさぎの絵が描かれ、そこに何やら文字が書いてあった。 その用紙が「手紙」だと暫くは気が付けなかった。 ーー 守田くんへ お手紙では、はじめまして。 実は、ずっと守田くんとお話ししてみたいって思ってたんだ!だから、この席になって良かったって思ってます。 そうそう、この授業って眠いよね……でも、守田くんはちゃんと先生の話聞いててすごいね! 私なんて、昨日新しいレターセット買っちゃって早くお手紙書きたいな。って授業中にこっそり書いちゃってるのに(笑) あ、邪魔してごめんね。 でも、もし守田くんが良かったら これからも眠くなったらお手紙書いていいかな? ーー 僕は持っていた付箋に ーーいいよ。ーー とだけ書いてこっそりと佐倉さんの机に置いた。 それに気付いた佐倉さんは僕だけにこっそりと微笑んでくれた。 その日の帰り道、僕の足は自然と文具コーナーに立ち寄っていた。 便箋を物色していると声をかけられた。 「あ、守田くん!偶然だねー便箋買うの?」 「佐倉さんっ!!佐倉さんこそどうして!?」 「守田くんと文通?する事になったでしょ?だから、守田くんにピッタリなレターセットがないか探しに来たんだ」 守田くんももしかして………?とじっと見つめられる。 その時は何も言えなかったけど、この思いはきっといつか手紙で伝えてみせるぞ!と、買ったばかりの便箋を取り出し、言葉を紡いでいった。
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