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#04
「俺は…。」
ちゃんと伝えていたら、俺となおこの人生変わっていたかも知れない。
そう思えて、仕方なかった。
「やだな、からかっただけだよ…やだな、相変わらず冗談が通じないんだから。」
彼女は頬にしわとシミがあったけど笑う、その表情や声、仕草は変わってなかった。
「俺…。」
言いたい!
言ったところで…
彼女が俺と!?
居てくれるとは限らないが、
でも。
俺は…。
「なっ…何?冗談でしょ?」
困った顔、
そんな顔が見たくなくて、あの時の俺も友達のままを選んだ!?
つもりだった…。
でもそれは、
ただ俺自身がなおこへの想いから逃げたに過ぎない。
そう気がついたから、
どうしても会いたくなったんだ。
だから今…俺は、ここにいる。
言ってしまおうか?
「…。」
このままここで、
終わりになってしまうだろうな。
けど…
うなずいたらまた…
会ってくれるかも知れない?
「ね?みつはる?」
言おう…。
言って、あの時に後悔した時間を取り戻したい!
なおこ…。
「俺は、その…。あいつは?うん、あいつ元気か?」
「リュウ?」
彼女は、不機嫌そうだった。
会えなくなるのは、嫌だ。
答えを出さず、
冗談だとも言いたくなかった。
だがそれ以上にあいつ…
リュウの話をこのせっかくの時間にしたくない話だったけど。
俺はあの日々と変わらず、彼女を試すかのように、話を変えてしまった。
肝心なところで、話をそらしてよく、なおこ…お前に怒られたっけ。
高校1年の夏だった…。
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