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#07
「実は…俺、」
と…みつはるは、自分のおかれている状況を話し始めた。
「はあ?」
「は、って…まあ誰でも驚くよな?入学して半年でまあな。」
みつはるの父親は海外で仕事していて、日本に戻ってくる予定だったが、戻らない事になったらしい…。
母親も海外に行く事になり、みつはるはついていくか、このまま日本に残るか自分で決めなくてはならなくなったと僕に教えてくれた。
「な?リュウは、お前なら…そのなおこの好きな奴、誰か知ってるか?聞いてたりしないか?」
僕はてっきり…なおこが好きだと聞かされるのかと思ったのに。
「あ?何の話だよ!なおこその事、知ってるのか?海外に行くかもって話し。」
「言ってない。」
みつはるは、深刻な顔だった。
「言ってないって、なんだよそれ。」
僕の言葉にみつはるは、少しムッとした顔をした。
「言われなくても、分かってるよ。」
「分かってないだろ、第一その事となおこの好きな奴と関係ないと思うけど。」
「分かってるよ、分かってる。気持ちが…よくわからなくて。」
強気で答えていたみつはるだったが、段々声をつまらせた。
みつはるは日本に残る理由が、ほしいようだった。
「なあ…聞いてくれないか?」
「聞くって?」
なんとなくわかったが…違う答えが欲しくて僕は大きく息を吐き捨て、動揺と込み上げる怒りを落ち着かせた。
「だから、そのなおこの好きな奴。」
「へっ?」
やっぱりお前は、僕に聞けだと?聞いてどうする?
仲良しごっこを続けるのか?
なおこの気持ちを知って…?
お前自信の気持ちは?
「ゴメンこんな事、話せるの…やっぱりリュウしかいなくて悪いな、お前ならあいつも教えてくれるだろ?」
「みつはるお前は?好きな奴いるのか?」
なおこが好きなのかとは…聞けなかった。
「俺?俺は…分からない。」
なんだよ、それ!
また文句を言いそうになったが、考え込んでいたみつはるを前にさすがに言葉をのみこんで言うのをやめた。
でも僕は…そんなみつはるのあやふやな気持ちが許せなかった。
だから…僕は言ってしまった。
「なおこ…いるって…さっ、前…聞いた。」
みつはるの顔を見れなかった。
「そうか…俺なんかじゃないよな?」
僕はためらう事なく、うなずいてしまった。
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