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#01
「私!覚えてない?」
スーパーを出て歩いていた私の横を、昔好きだった彼が通りかかった。
声をかけずには、いられなかった!
けど…。
「はっ?」
彼は、もの凄く無愛想に私を睨みつけた。
「私だよ。高校で、一緒だった!」
私もさっさと名前を言えばすむことなのに、意地になって言わなかった。
「高校?俺ここの地元じゃないけど?」
そんなの知ってる!
もう!
だから、こんなに驚いたんじゃない!
「はあ?もう…あの誰かと間違えていませんか??」
彼は、急に丁寧に私と距離を置くように話始めた。
…もしかして
私を、年上のオバサンと勘違いしてる?
同級生なのに…。
ああ、でもよく考えたら結婚して15、6年は経つんだし、
オバサンだって思われても仕方ないか。
それにしても…
カッコ良くなったな。
「あっ!」
彼が急に大きな声を出した。
「なっ…何ですか?」
変質者とか言って、人呼ばれてしまうのか私?
と思ってびっくりした私は、彼が手を伸ばしてもつかめない距離を作った。
「な…なおこ、なのか?」
彼の表情が一変した。
私の顔も赤かったに違いない。
私達はスーパーの駐車場を歩いて出て、目の前の珈琲ショップに向かった。
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