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まあ、それも魔王軍の戦力強化だと思えば正しい経常予算だと数えられるでしょう。
儲かった売上をスナックやらキャバレーやらで派手に使っては経費で落とそうとする、ふざけた魔王様よりは、よっぽどましですわ。
え、そんな魔王様が先代に存在したのかですって?
それがおりましたから困りものです。
その魔王様は結局世界征服にも乗り出さないで、夜に成ると人間の街に出掛けては若い娘たちが働く店を飲み歩くばかりでしたわ。
魔王城に帰れば私のような良妻賢母な女が待っているのにですよ。
……でも、その頃の私は、今のような熟れた肉体をもてあましておりませんでしたから、仕方無いと言えば仕方なかったのかもしれません。
ですが今は異なります。
旦那様から血肉を分け与えられ、女性としての豊満な肉体を取り戻したのです。
これを気に旦那様にはグイグイと猛烈アタックを続けて温かい家庭を築いて見せますわ。
そうですね、子供は最低でも二人は欲しいですわね。
男の子と女の子の両方かしら。
うふっ。パパママと呼ばれる日が待ち遠しいですわ。
将来的には、泣く泣く娘を嫁に出し、息子が嫁を取ったら孫が出来るんでしょうね。
私と旦那様は、その可愛いらしい孫に「じーじ、ばーば」と呼ばれながら老後を送り、そして二人で同じお墓に入るのですわ。
死しても二人の契りは途切れません。夫婦の愛は永遠ですもの。
はあ~~、私、幸せですわ―――。
……あ、なんの話をしていましたっけ?
え、もういいとおっしゃいますか。
まだまだ私の惚気話を聞いて貰いただきたかったのですが、残念ですわ。
え、最後に一つだけ訊きたいことが有るのですか?
何でございましょう?
旦那様に血肉を与えられたら、同化の契りで旦那様が亡くなれば一緒に私も亡くなるのではないかって?
まあ、そうでしょうね。だから一緒の墓で眠りたいのですわ。
その時は宝物殿の守護の指命を、どうするのかって?
それは旦那様との間にもうけた子供たちか孫たちに継いでもらうに決まっているじゃあないですか。
もう嫌ですわ。当然ですよ。
まあ、本家が魔王で、分家が宝物殿の守護かしらね。
では、これで―――。
またの御越しを御待ちしております。
【マミー・レイス婦人にインタビューを終えてレポート用紙の最後に記載する。マミー・レイス婦人には、強くて濃い妄想癖があると……】
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