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第1話【魔王の外見に付いてのレポート】
身長198センチ。
全身筋肉質だが脂肪や贅肉は少ない。
鍛え上げられた肉体美は一流のボディービルダーの如く芸術的である。
しかし、風貌や形相は、どの角度から見ても人外その物であった。
堀は深く。鼻は獅子の形。両眼は赤く輝き。顎の骨格は強固な超合金をイメージさせる。
ボサボサの赤髪は腰まで長く、針金の如く殺伐としていた。
その長髪からは尖った両耳と長い二本の角が伸び出ている。
更に禍禍しいのは全身のシルエット。
黒ずんだ肌は所々が甲冑のような黒色鉱石に変化しており、更にはランダムで蠍鎧を着込んでいるかのように見えるが、それは実のところ感覚を残した地肌である。
胴体は右肩と右胸。
それに右脇腹。
左肩から指先まで腕全体。
下半身は、左脛から足首を過ぎて指先まで。
逆足は太股から脚の指先まで。
両足は、五指が開いた甲冑靴のようだった。
更に左面は額から頬骨の周辺までもが漆黒の蠍甲冑に変化している。
人外のシルエットをイメージさせる最大限の特徴は、爬虫類のような長くて波打つ尻尾が生えていることだ。
総合するにマダラな半身黒蠍甲冑は、まるで変身途中の悪魔怪獣にも窺えた。
否──。
彼は今現在のところ最強で理想的な大魔王に変貌している最中なのかもしれない。
少なくとも彼に永遠の忠誠を誓った魔性の配下たちには、まだまだ中途半端な姿である主で有りながらも、威厳と恐怖に満ちた絶対的な支配者に映っていた。
それだけ、この魔王道を修行中の男は、強くて聡明なのであろう。
カリスマ性にも長けている。
また彼も、配下たちの理想に近づこうと努力していた。
少なくとも私には、そう窺えた。
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