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お父様、ただいま帰りました。
あら、お客様ですか?
ああ、インタビューの方ですね。
また何かインタビューをしているのですか?
成る程、近衛隊の方々が魔王様と戦われた時の話をしていたのですか。
え、その話をお父様に代わって話して貰いたいと……。
ええ、かまいませんですとも、私で宜しければいくらでもお話いたしますわ。
あら、お父様はお仕事に戻られるのですか。
では、何かありましたらお呼びくださいませ、お父様。
それでは近衛隊の方々が魔王様と戦われた時のお話を始めましょう。
あの日は謁見室で新魔王様降臨の噂を聞き付けて各地からやって来た君主や村長たちとの顔合わせの日でした。
近衛隊の方々は傭兵や用心棒などを営んでいた方々もいましたから、君主や村長のお供で魔王城にやって来たのでしょう。
そこで兄様が魔王様と戦われた話を聞き付けたのやも知れません。
城下町でも、あの一戦は話題に成っておりましたからね。
そして、あの一戦以来です。沸き上がった噂話があります。
『魔王様に勝てたのなら魔王の称号を譲る』
それは魔王様も意として流した噂ではなかったのですが、結果として魔王様の望む展開に進んでおります。
この噂に近衛隊の皆様が食い付いたかたちに成った訳でございますからね。
多種多様な種族でありながら、何処で意気投合したのか分かりませんが、6名が揃って謁見室に殴り込みに参られたのです。
私も秘書として玉座に腰掛ける魔王様のお隣に控えて全ての様子を見ておりました。
この後に行われる戦いの一部始終まで全てを見ていましたとも。
そして、魔王様を前にしても膝待つかない非礼な6名を兄様が恫喝しておりましたから、謁見室は緊張感が溢れておりました。
魔王様も玉座の肘掛けに頬杖を付いたまま無礼な6名を睨み付けて威嚇しておりました。
―――が、その実は心中で笑っていたのでしょうね。
生きの良い新鮮な獲物が釣れたと歓喜していた筈でしょう。
魔王様は、そう言う御方でございます。
えっ、同じことをお父様も述べていたと ……。
まあ、それはそうでしょう。
お父様は魔王様の良き理解者で、血肉を授かった第1号でございますからね。
もう少し若くて戦闘面で現役ならば、近衛隊長はお父様だったかもしれませんし。
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