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「親方、今日のことなんだけど」 「悪いけど俺は別件でずっと抜けてるぞ。これ食ったらもう行く」 「そうなんだ、夜ご飯はいるよね?」  すぐに是、と返ってくるかと思われたが、親方はしばし動きを止めて何やら考え込む素振りを見せた。 「あー……いや、いらねぇ、かもしれねぇ」 「どっち」  リオは食事の手を止めずに尋ねた。 「じゃあいらん」 「遅いの?」 「たぶん、な」 「ふぅん」  こくりと一口水を飲み、リオは返事した。 「一体何の依頼?難しい依頼なんだね」 「……まぁな」  親方にしては、歯切れの悪い返事だ。 「極秘の依頼とか?」
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