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僕が小学校高学年の時だ。通学の途中、自転車で転んでいる、年上の女の子に会った。女の子はセーラー服を着ていて、まつ毛の長い目の大きな子だった。
「大丈夫?」
「うん、有難う」
「血が出てるね、僕のハンカチで良かったら使ってよ」
「でも・・・・」
「いいって、ハンカチくらい」
僕は女の子の膝をハンカチで拭いてあげた。道路の土が赤い傷に滲みて痛そうだった。
「ばい菌が入っちゃうかな。ちょっと待ってて」
僕は心配で走って家に戻り消毒液を持ってきてあげた。
「ほんとに有難う。君の名前は?」
「僕は瑛太って言うんだ」
「そう、わたしは紗理奈って言うの」
僕はニッコリ笑った。その女の子も頬を緩ます。すると、家からお母さんが怒ってこちらにやって来た。
「瑛太、何やってるの、遅刻じゃない」
「あ、ゴメン、お母さん」
「まったく、罰として今日のおやつは無しよ」
「えー。残念だなぁ」
僕は急いで学校に駆けて行った。
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