お人好し

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「瑛太君、4階に行くの?」 「ああ、手紙でさ、呼び出されたんだ」 「もしかして、トイレ?」 「ウン。その通り。バカバカしいけど行ってみるよ」 「止めたほうがいいよ。お化けが出るっていう話じゃない」 「首吊り自殺した怨霊だろ。僕も知ってる」  僕は肩を竦めた。だが、後もう少しで4階である。引き下がる訳にもいかない。  4階にあがると、誰も人がいなくてシーンと静まりかえっていた。手紙の主が誰かは解らないがまだ来ていないんだろうか。僕はトイレの前に立った。どうしよう、中に入ってみようか。僕はドアを開けて中を覗き込んだ。 「誰かいるのか?僕を呼んだだろう」  声を掛けてみたが返事がない。悪戯だったんだろうか。僕は踵を返して帰ろうとした。だが、まだ呼び出した子が来ていないという可能性もある。僕は廊下で辺りを見渡した。 ガタガタ、ガタガタ  トイレの中から物音がした。なんだ、もう来ているのか。怖かったので片目を瞑りながらもう一度ドアを開ける。 ドン  誰かに背中を押されて中に弾き飛ばされた。小さな曇りガラスがあるだけの薄暗い室内に僕はゾクッとしてトイレから逃げ出そうとする。
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