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あれ、ドアが開かない。
誰かがふざけてドアを押さえているのだろうか。僕は大声を出した。
「おーい、ドア開けろよ」
僕はノブを上下に強く揺さぶった。だがドアはビクともしない。どうしよう。閉じ込められた。くそう。よりによってこんなところに。やっぱり来るんじゃなかった。僕は下唇を噛み締めた。
ツン、ツン。
ツン、ツン。
誰かが背中を突く気配がする。気のせいか?確か誰もいなかったはず。後ろを向いて確かめたいが怖くてそれが出来ない。
ツン、ツン。
ツン、ツン。
ああ、止めろ、止めてくれ。僕はまた大声を出した。
「だ、誰なんだよ。僕をここから出してくれ」
「ふふふ、ふふ。わたしは紗理奈。ここで死んだの」
ちくしょう、首を吊って死んだ子の怨霊か。それとも誰かの悪い悪戯?だが待てよ、この名前、聞き覚えがある。
「手紙、読んでくれたんでしょ。あれ、わたしが憑りついて男子に書かせたの。瑛太君のこと誘おうって思ってたんだ。わたしの事覚えてる?」
「えっ、誰だっけ」
「ねえ、ねえ。ロープ持ってきた?」
「な、なんだよ、ロープって」
「3枚目の手紙に書いてなかった?ロープを持ってくるようにって」
ああ、僕はそれを読んでいない。机の中に放り込んだんだ。
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