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お陰様というのも不謹慎だが、
私が主任に就任したのはこの夏だ。
「しかしまあ藤原さん、いよいよあんたの時代だね。」
私は大慌てで否定する。
「何をおっしゃいますやら、主任ごときがなんの権力もありませんよ。」
この男から、決して妬みを買ってはいけない。
冷静に、努めて冷静に事を済ませなければ…
「藤原さん、ご栄転なさったんですね」
吉瀬美智子に似たスナックのママは、艶然と微笑みグラスの水滴をぬぐう。
まずい…この流れは非常にまずい…
ママはこの男、牛頭のお気に入りである。
牛頭は両目を細めて嬉しそうに笑った。
「栄転かい、けなるいのぅ。」
かちり、と何かのスイッチが切り替わる音が頭のなかに響いた。
午前2時…丑三つ時に、私は呪われてしまった。
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