トモダチロボット-5

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トモダチロボット-5

そんなことがあって、博士に相談に行った。 「うん?トモダチロボットに風を感じる機能をつけろと?」 「ちがう、ちがう。僕は博士と旅行に行きたいんだよ」 博士はふむ、と思案顔で、次にこういった 「なるほど、やっと、人間の友だちが欲しくなったか」 僕が戸惑っていると、博士は言葉を続けた。 「君は昔、人間の友だちなんて一人だって必要ないって言っていただろ。ロボットの方が優秀に決まっているって。君の両親はそれを心配してね。それでさ、君の両親を説得したんだよ。ロボットの友だちをもてば、人間の良さがわかるってね」 「ねえ、博士。人間の良さってなに?」 「人間はね、言葉以外のものでたくさんメッセージを受けているし、伝えているのさ」 「よくわからないよ」 博士はコホン、と咳払いをしてから、近くにあるコンピュータをじっと見た。 「ロボットはさ、こちらから働きかけないと動かないだろ?君のとこへ最初の挨拶をしたときだって、君をトモダチと認識させるのに、ちょっと苦労しただろう」 「うん…」 「人間はさ、からかったり、意地悪したり、助けを求めたり…そういうところから、自然とトモダチをつくるけど、ロボットはそうはいかないんだ」 「やっぱり、よくわからないよ」 博士は僕を見た。 「そう、私は今、君が困っていることを、感じてる。ロボットなら、それを言語化して答えを言うだろう。でも、僕は人間だから、その曖昧さを一緒に感じて、曖昧なままで終わらせたいと思う。それが人間らしいというものさ」
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