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私は思わず、カップを持つ手に力をこめた。
うそ……!
美佐子の言葉を、心中で否定した。
――全然モテないダサ男。
他の女性の好みは分からない。
だけど、目の前にいるこの男性の顔立ちは、私の理想にピタリと一致している。私は、変な趣味なのだろうか。
「あの、どうかなさいましたか?」
無遠慮に見つめ返す私に、彼は戸惑いの表情になった。
「いいえっ、別になんでも……」
驚いてしまう。
この人が、仁科慶彦だったのか。
仕組まれたお見合い。なんてひどいやり方だと、反発したさっきまでの気持ちが吹き飛んだ。私はこんなにも単純だったのだろうか。
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