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さすがの私も、彼女が何を言いたいのか分かってきた。
つまり、今の話は……
甥ごさんに電話する仁科課長の様子を思い出す。嬉しそうに、少し興奮気味に話していたような。
無言の私に、美佐子はハッキリと教えた。
『課長はね、私や他の子にも慶彦と見合いしないかって声をかけてんのよ。彼氏のいない女子がターゲットだから、悠美は今まで外れてたわけ』
「ええ~っ!?」
ショックで取り落とした車の鍵が、積もり始めた雪に沈む。
「ってことは、私が今回、ターゲットに……」
鍵を拾った指先が震えている。耳に神経を集中させた。
『これは仕組まれたお見合いよ。皆課長に遠慮して黙ってたけど、やっぱり見過ごせない。今しかないわ。帰ってらっしゃい、悠美!』
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