聖典

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また、神々には人の傲慢や思い上がりに対しては厳しく、恐ろしい面もあると知った。 禁断の果実を口にしてしまった太古の人の地で、陽神ラーモアはその強烈すぎる光と熱を持って地上のすべての草木を枯らし、飢えと渇きをもたらした。 自らの知恵は天にも届く。そう思い上がって神の域まで届く塔を建てようとした人々に対し、地神デニレケーマは大地を揺らしてその街々ごと叩き壊してしまった。 その後の地で、酒や博打に明け暮れ堕落した人々を、水神デムロームは天の水と地の水を一つにして水底に沈めてしまったこと。 私欲のための争いをやめない人々を、風神シラスンバが天にも届く竜巻をおこして彼方まで吹き飛ばしたこと。 うち、この森の奥にもそれを祭る(ほこら)のある、木神クヌコロンギだけは生命の恵みをもたらす温和な神とされていた。 そして、このような神による惨事が約一千年に一度起きた時、人々の中から神に許しを請い、世を救うものが現れた伝説。 その力を得るための、選ばれたものにしかできない修行の話。
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