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森の奥
曲がりくねった樫や椚の枝が陽光を覆い隠す、鬱蒼とした暗い森の奥。
天より見れば、その枝がわずかに隙間作り、そこから微かに照らす陽光が陽だまりを作るその森の一隅。
掛け声とともに、振り下ろされる拳。
その拳は、鉈も使わずして切り株の上に置かれた薪を勢いよく割って行く。
その小さくも逞しい腕も体も、裸の腹を残して銀の体毛に覆われたそのものは、腰につけた使い古された皮のものいれのほか一切をまとわず。
頭上には、獣耳、手足には黒い爪。
しかし、その顔も体躯も、それはまだあどけない少年そのものである。
名をシルヴィンという。
この世には、人と獣の合いの子のようにその両者の性質を具有したものがある。
しかしそれは、人の子として生まれても獣と蔑まれ森に捨てられ、街の喧騒の中にはいてはならないものとされてきた。
この森に捨てられて十二年。
天性の獣の感覚で生き延びてくるも、またこの森奥にもある世情から人の仕事もこなしてきた。
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