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シルヴィンは、薪を全て割終えると、その鋭い爪の生えた手でも器用に縄でくくり、背に負っては森の小道を歩き出す。
ただそよぐ風が時にはを散らすだけに見えるその森も、歩くシルヴィンの顔はどこか爽やかな会話を何かとかわしているように見える。
いや、事実そうなのだ。
『おはようシルヴィン、今日もラーモア神さまの後光はよくさしとるで』
『おはようございます、椚さん。今日もいい枝振りですね。』
道すがらの椚の木と言葉を交わす
『オオカミさんだ逃げなくちゃ・・・』
『今日はとって食べたりはしないよウサギさん。』
うさぎやリスの声。オオカミとはどうしても小動物から恐れられる存在となってしまうのだ。
『おうシルヴィン、今日も人間の仕事の手伝いか。精の出るこったい。』
『狐の爺さん。もう歳なんだから体大事にね。』
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