告白

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告白

ドキドキと高鳴る胸。 上がる体温。 緊張で気分は高揚していた。 私は体育館裏に先生を呼び出した。 先生は何故呼び出されたのか分かっていたかもしれない。 授業が終わった後、隠すようにして渡した手紙。 始めは不思議そうにしていたが、手紙の中を見て驚いた顔をしていた。 手紙の内容はこうだ。 『二人きりでしたい、大切な話があります。 今日の放課後、体育館裏で待っています』 先生が手紙を読んだのを確認して、私は教室を出ていった。 ホームルーム終了後、私はすぐに体育館裏に向かった。 体育館裏は木が生い茂り、じめじめとしている。 薄暗く、近付く生徒はあまりいない。 誰にも聞かれたくない話をするのにうってつけだ。 先生を呼び出す事について、私はかなり悩み、昨日も布団の中で眠らずに考えた。 この事は私の胸の中にしまって、伝えずにいようかとも考えた。 しかし、曖昧なままにしておく事に私は耐えきれなかった。 後ろから草を踏む足音が聞こえる。 私はゆっくりと振り返った。 先生の姿が木々の間から見える。 少し俯いている先生の表情は分からなかった。 「先生」 出た声は少しかすれていた。 つばを飲み込み、ノドを潤す。 思っていた以上に、私は緊張しているようだ。 「話とは何だ?」 いつもなら近くに来て話す先生が、少し離れた所で立ち止まった。 この距離が先生の緊張を表しているのかもしれない。 「もう気付いていますよね?」 声が小さくならないように、私は握られたこぶしにぎゅっと力を入れた。 「昨日、先生が体操服を盗んでいる所を見ました」 end
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