月明かりの下で

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月明かりの下で

 月が出た。中秋の名月。じいちゃんと私は、ばあちゃんのベッドのそばで、みんなで夕食を楽しんだ。じいちゃんは珍しく日本酒を飲んで、ばあちゃんと一緒に歌を歌った。私の知らない歌ばかり何曲も歌ったが、『水色のワルツ』という歌は、なぜか私の心に響き、教えてもらって一緒に歌った。    じいちゃんは酔っ払って夜9時半頃に、ばあちゃんの布団に入って、一緒に眠ってしまった。ばあちゃんも眠っていた。私は二人仲良く顔を並べて眠っているところを写真に撮り、部屋の照明を消した。  明るい月明かりの下で、愛し合う二人は幸せそうに眠っていた。  次の朝、秋晴れのすがすがしい空気の中で私は目覚めた。静かだ。物音ひとつしない。いつもなら、じいちゃんがテレビを見ている時間だ。  じいちゃんとばあちゃんの寝室を覗く。妙に静かだ。    じいちゃんとばあちゃんは、昨夜と同じように仲良く顔を並べ永遠の眠りについていた。愛は奇跡を実らせたのだ。

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