1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
トライアングル~金城~
例えば、新雪のように純白な君の心とか。
例えば、枝毛の一つも無い真っ直ぐに伸びた君の髪とか。
例えば、幼子が遊ぶ人形のような大きな瞳とか。
君の美貌や言動は、僕を狂わせるには十分過ぎる位、魅力的なんだ。
「金城君っ!」
ほら、その振り向いた時の屈託の無い笑顔。
本当に狡い人だよ、綾間さんは。
「どうしたの、綾間さん。」
「私達って三年間一緒じゃない?」
「そうだね。」
確かに僕と綾間さんは、高校生になってから三年間、同じクラスだ。
未だに顔もまともに見れないけど。
「そろそろ、名前で呼ばない?」
「……無理。」
だって、そんなに近付いたら、僕はきっと勘違いしてしまう。
「そっか……ごめんね急に!」
「いや、別に大丈夫……。」
綾間さんは、最近噂されている男、小早川藍人の所へ行ってしまった。
自意識過剰かもしれないけど。
……少しだけ、少しだけ、寂しそうな表情を残して。
「藍人、一緒に帰ろ?」
「……ああ、良いよ。」
教室の前で繰り広げられている、カップルらしい会話。
「っ……。」
きっと、これが綾間さんにとっての幸せ。
そして、綾間さんの幸せは、僕の幸せだ。
「でもっ……。」
何故だろう。
涙が、こんなにも溢れだしてくる。
最初のコメントを投稿しよう!