こちら裏道郵便局

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□□□  裏道郵便局のデスクで、佐倉愛之助の同僚であるアルバイトの関口(ゆたか)は、傍らの職員に声をかけた。 「どうするんですか、愛之助くんは。軽く二桁越えの規律違反を犯してますけど」 「あお」 「できれば、首は勘弁してあげて欲しいです。彼みたいな人にやって欲しいじゃないですか、この仕事」 「あお」  真っ青な体色の職員は、かくかくとうなずく。 「じゃあ、厳重注意の上で継続ってことになりそうですかね?」 「あお」 「それはよかった。しかし、見てくださいよ」  関口が示したのは、愛之助のデスクである。そこには、大量の便箋がこんもりと積まれていた。 「あの女の子の事件があったのって、一年近く前でしょう? 今でもこんなに手紙が届くんですねえ。家で顔を合わせていてもなかなか思いの丈を伝えづらい両親とか、被害者とそれほど深い付き合いではないけど心配してる町内の人々。それに中学の時のクラスメイト。それより何より、半分以上は――」  関口が、便箋の束をつまみ上げた。 「佐倉愛之助くん、その人ですよ。自分が出した『想い』の手紙を、こんなに自分で運んでる郵便局員て、彼くらいじゃないですか?」 □□□
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