* Sweet.1 *

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知るわけない、と返そうとしたところで、先ほど茅野とは友達だと言ってしまったことを思い出す。 苺の日以前、茅野とは全く接点がなかったし、学校での印象なんて正直知らない。 とりあえず自分が知っている茅野の情報をかき集めて、多少脱色して盛ってやった。 「女子にモテて性格もいいから友達もいっぱいいるし。結構目立ってるよ」 ──本当は俺の頬っぺにちゅーするくらい、節操なしなやつだけど……! 可愛い妹と弟の前だからいいところだけ言ってやったぞ、感謝しろよ、茅野。 「やっぱり! 舜にいがお手伝いする日って、舜にいに話しにくる女の子がいっぱい来るんだよ!」 「へ、へぇ……」 イケメンは学校でも家でも完璧だった。 女子限定だが客寄せも出来るなんて、将来有望だなと舌を巻く。 それに比べて自分は、家の手伝いは弟に任せっきりで、将来のために勉強に励むでもなく毎日放課後にはふらふらと遊びまわっている。 ふと悟のノートに目を落とすと、升目の外にシャープペンシルで薄く書かれた跡がある。 目を凝らしていると「舜にいが教えてくれたんだよ」と、悟にこっそり耳打ちされた。 小学3年生の宿題を教える傍ら、夕里も今日の分の宿題を全て終わらせていった。
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