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──顔はまあ……いいと思うけど。顔だけ……顔だけなんだから、見てたらそのうち飽きるし……!
そんな顔だけの茅野の人気が2年も続いていることに、目を瞑る。
「ただいまー。あれ、お客さんじゃん珍しい。舜にいの彼女?」
スポーツブランドのロゴが入った大きなバッグを肩に提げた男の子が、夕里達のいるリビングに入ってくるなり茅野を茶化す。
「彼女じゃなくて同級生。女の子みたいだけどちゃんと男だから」
「あ、そうなの? 間違えてごめんなさい。俺は舜の弟で連っていいます」
女子と間違えられていらっときたが、謝るだけまだいいか、と夕里も大人になって連を許す。
「連にいお帰りなさい! 連にい帰って来ない間、いろいろ大変だったんだよ。舞、お熱出しちゃって……」
「あー……そうだったんだ。悟が看病してくれてたの? よしよし、頑張ったね」
連はさっと手を洗うと何故か夕里の隣の席に着く。
茅野は一回り大きい茶碗に白ご飯を恐ろしいほど盛ると、連に手渡した。
一口ずつ口に運ぶというよりは、かき込むようにして食べる連に、圧倒される。
「連、行儀が悪い」
「……はいはい」
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