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* Sweet.3 *
「なあ、男とのキスってノーカウントにしていいよな?」
「え、何。ゆうちゃん、初キスを男に捧げたの?」
「いや……事故だし。事故だから。というか、初キスとか何も言ってないだろ。決めつけんな、バカ」
やけにピリピリしている夕里は、後日、クラスで1番仲のいい寺沢にファーストキスを台無しにされた件を相談した。
……もちろん、相手の名前は伏せて。
「ゆうちゃん初めてとか気にするタイプなんだ。んー、気持ちがこもってなかったらカウントしなくていいんじゃない? 合コンで連絡先交換して、メッセージ盛り上がったけど朝起きたらやっぱり別れよ……って、付き合ったことにカウントしないでしょ」
後半の理論は夕里には全く理解出来なかったけれど、「そこに気持ちがなければノーカウント」という寺沢の持論には同意する。
昨夜から続くもやもやに決着をつけ、茅野にされたキスはファーストキスに数えないことにした。
──『すっごく意識してくれてるじゃん』
悔しいけど認める。……そうだよ、意識するに決まってる。
家族のことも、話したのは茅野だけだし。
茅野の思い通りになっているのが腹立たしくなって、夕里は思わず舌打ちする。
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