従兄弟編

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ギャーっと鳴き声がした。友斗が目を覚ましたようだ。 友斗はいまようやくよちよちと歩くようになった頃で、危なっかしく坂道を駆け下りようとしては転んで泣いて抱っこで家に帰ってを毎日のように繰り返している。 でも、こうやって親を求めるところはまだまだ赤ちゃんだなあと思う。 せっかく断乳したのにおっぱいを触ってくる。ダメよ、と手をほどいておんぶしてやる。 この子を生んだとき、主人は旭川まで来てくれた。予定日から遅れに遅れて、10月31日、ついに計画分娩のために入院した。 経口薬を飲んで陣痛はついたけれど、その日は結局生まれなくって、翌日の17時頃の出産だった。旭川では11月に雪が降ることはよくあるが、道路まで真っ白に積もることは珍しい。そんなきれいな日に出産した。 子宮口が全開になるまで待って主人を立ち会わせての出産のはずが、何度いきんでも出てこない。それで、エコーを見ると旋回異常ということで、麻酔を入れて帝王切開をすることになった。 その日は5件の出産があり、内3人が帝王切開で生まれたらしく、病院は大忙しだったそうだ。主人は生まれて2日の我が子を抱いてから東京に帰ったので、出産後4日目にいただくお祝い膳は、母と妹と食べた。
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