運動会編

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友斗は走るのが速い。 お風呂上がりは体を拭く前に走って逃げるし、トイレに誘っても走って逃げる。公園に行けば追いかけっこがスタートして、毎回、大人が全力疾走する。2歳になったばかりだというのに、こんなに速く走るものだと思わなかった。 なにせ先ほど、保育園の先生を出し抜いたほどであるのだ。徒競走ではきっと、一等をとってくれるだろう。 白いスタートラインの前に、黄色の帽子に白のシャツ、黒のズボンを着た園児が4人並んでスタートの合図。 まだ1歳児だというのに、みんなゴールを目指して走る、走る。こんなに統制をとれるものかと感心した。なにせ、こちらは子どもたちはみんなあっちこっちに走り出すものだと思っていたのだ。 待ちに待った友斗の番。そらたにゆうとくん、と呼ばれたうちの子は、右手を高く挙げて、はい!と返事をした。こちらが誇らしいきもちになった。 ようい、どーん!とピストルの音がした後もなかなか友斗は動かない。いや、1人の子を除いて3人が動かない。 そこで先生がどーん!と口で言って、ようやく、2人が動き出した。 うちの子は、2人が走りだすのを横目でみて、それから、先生に促されるのを確認してから、走りだした。 順位としては4位であるが、協調性を感じる走りであった。
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