従兄弟編

2/10
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
妹が今いるのは、私が友斗を生んだ病院だ。実家から車で30分ほどで、旭川市内では無痛分娩のできる唯一の病院で医大との提携もあり、おまけに食事も美味しいと言う評判の病院である。 私は母に電話を掛ける。入院や手術のための必要品を買いに行っているのだろう。 「真希の調子はどうなの?」 「あのね、父さんから聞いた話なんだけど、赤ちゃんの元気がなくなっているんだってさ。それで、医大から小児科の先生が来るのをまって、到着したらすぐ帝王切開するんだってさ」 「大変だね」 「そうなのさ!父さんは頼りにならないしさ!」 それで電話を切った。妹のためには、なるべく母に早くに到着してもらった方が良いだろう。 私は一度はスーツケースにしまった出産祝いを取り出した。コンボ・ミニのラップステッチという簡単にお着替えできるというベビー服だ。出産祝いというのはやはり、生まれてから渡すものである。もし早くに送ってしまっていたら、これも妹の頭をチラついたに違いない。 私は父にメールを打った。 「帝王切開は、赤ちゃんにとって一番負担の少ない方法だね。真希はつらいかもしれないけど頑張ってねって伝えて」 私も帝王切開で生んだから、妹は帝王切開について拒絶の感情はないと思うが、一応、少しでも、安心させてやりたい。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!