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妹が今いるのは、私が友斗を生んだ病院だ。実家から車で30分ほどで、旭川市内では無痛分娩のできる唯一の病院で医大との提携もあり、おまけに食事も美味しいと言う評判の病院である。
私は母に電話を掛ける。入院や手術のための必要品を買いに行っているのだろう。
「真希の調子はどうなの?」
「あのね、父さんから聞いた話なんだけど、赤ちゃんの元気がなくなっているんだってさ。それで、医大から小児科の先生が来るのをまって、到着したらすぐ帝王切開するんだってさ」
「大変だね」
「そうなのさ!父さんは頼りにならないしさ!」
それで電話を切った。妹のためには、なるべく母に早くに到着してもらった方が良いだろう。
私は一度はスーツケースにしまった出産祝いを取り出した。コンボ・ミニのラップステッチという簡単にお着替えできるというベビー服だ。出産祝いというのはやはり、生まれてから渡すものである。もし早くに送ってしまっていたら、これも妹の頭をチラついたに違いない。
私は父にメールを打った。
「帝王切開は、赤ちゃんにとって一番負担の少ない方法だね。真希はつらいかもしれないけど頑張ってねって伝えて」
私も帝王切開で生んだから、妹は帝王切開について拒絶の感情はないと思うが、一応、少しでも、安心させてやりたい。
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