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店の前にはスーツの男性陣がゾロゾロと集まっていた。名刺交換している人たちもいてなんだか堅苦しい。とりあえず外から見る限り藤沢さんの姿はない。
私も何度か名刺交換を求められ、さっきの山田太郎さんとのやり取りと同じようなことを繰り返した。
やっと落ち着いた頃、ドキドキしながら店の入り口に並んだ。そしてようやく中を見渡せる場所に来た時、貸し切り状態の広い店内を視線だけで一望した。
ーーいた!
座敷の隅に藤沢さんの姿を見つけて舞い上がったのも束の間、藤沢さんが両側を男性に挟まれて楽しそうに談笑しているのを見て、これは私が割り込むスキはないなとガッカリしてしまった。
しかし宴会は長い。終了時刻までの間にスキを突けばいいのだ。そしてその前に自分が拘束されるのを避ける必要がある。
私はもう一度キリッと表情を引き締め、すぐに逃げられそうな場所を選んでそこに座った。
そして気難しいキャリアウーマンを演じること約1時間。私の隣に来る男性がそろそろいなくなってきたのを見計らい、藤沢さんの近くの空いている席にさりげなく移動した。
ここからが本番だ。まだ彼女の隣には男性がいる。この人が席を外し次第私は動く。
そして、ついにその時は来た。
私は内心焦りつつも、デキる女の余裕を醸しながら彼女の隣に座った。
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