頑張りすぎ

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若者らしく軽い感じの文章で行くべきか、それともクールなキャリアウーマン風のビジネスワードを並べるべきか。 ホテルに到着してから30分は経ったのに未だに考え込んでいる。 だんだん頭が痛くなってきてスマホをベッドに投げて自分の身も投げた。私は考えるのが苦手だから大体30分でスイッチが切れる。 いや、悩んでいても何も始まらない。とにかく勢いで何かを送ってしまえばいいのだ。 少し気合いを入れてスマホを手で握り直し、もう一度メール画面を開いた。そしてバッテリー残量がピンチになっていることに気付いてしまった。 そういえば充電器を家に忘れてきた。いつもはこんなことないのに。これは急いでメールを送らなければ。 『お疲れ様です。三浦那央です。先日のセミナーではお世話になりました』 という感じの無難な出だしから、さっき多肉農家さんの所に行ったけど玉扇錦はなかったということと、来月の多肉植物展示会へのお誘いを綴って送ってみた。 そしてその直後にシャワーを浴びに行った。こういう時は長風呂に限る。スマホの前で返信を待ってヤキモキしてたら胃が痛くなってくる。 指が若干ふやけるくらいの長風呂の後、ドキドキしながらベッドの上のスマホを手に取った。 メールが来ている。藤沢さんからだ。
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