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『藤沢です。先日はありがとうございました』
送られてきた時間を見ると、私がメールを送った40分後だった。早くもなく遅くもなくちょうどいい。こういう何気ない事柄でお互いのペースが合うかどうかが分かる。
先を読み進めたところ、農家さんを訪ねてくださってありがとうございました、というお礼の言葉と、多肉植物展示会には是非ご一緒させてください、というお誘いの返事が書かれていた。
妄想が頭を駆け巡った。
これは無理矢理にでもシフトを調整しなければ。この日に急な出張でも入ったら誰を恨めばいいのか。
そしてバッテリー残量がついに3%を切った。
逆に私のバッテリーはマックスだ。スマホに分けてやりたい。
バッテリーを気にしながら藤沢さんに返事を送り、時間や待ち合わせ場所などの具体的なことが決まった。計画していた通り私の運転で行くことになったから、この日だけは方向音痴を発動しないように気を付けなければならない。
そして、『おやすみなさい』で藤沢さんとのやりとりを終えた直後、とうとうスマホの電源が自動的に落ちた。
明日も一件だけ仕事の予定がある。それを終えたら店に帰って事務処理を済ますだけだ。
気が抜けたら一気に疲労感が襲ってきた。ちょっと色々気合いを入れて頑張りすぎたのだろうか。
私は寝付きがすごくいい。目を閉じたら5分以内には大体寝ている。部屋の照明を消し、そのままスマホと一緒に眠りに就いた。
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