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「……私で良ければ慰めますよ?」
「ん……?」
「ちょうど私も人肌恋しかったので」
心臓が騒ぎ出した。
この目は本気だ。優衣が獲物を狙う目は高校時代に何度も見ている。まさかその目が自分に向けられるとは思いもしなかった。
「え、ちょっと……、待って私たち女同士じゃん」
「酔った勢いってことで。お互いフリーなんだから問題ないでしょ……?」
触れ合った身体が更に強引に押し付けられ、その勢いで体勢を崩してしまった。上に覆い被さった身体を押し退けようとしても私の方が腕力が弱くて負けてしまう。
「いやだから、……やめ、ん……」
そして信じられないことに、優衣はそのまま強引に私の唇を奪った。
頭が混乱している。優衣はそっちの人間じゃなかったはず。あれだけ男好きの優衣が、まさか女の私を襲うなんて。
優衣は更に、服の上から遠慮のない手つきで私の身体に触れ始めた。気持ち良くてまともに抵抗できない。口では「やめて」と言いながら身体は正直に反応してしまう。優衣はそれを知ってか更に大胆な行動に出はじめた。
服を脱がされブラを外され、優衣の指先と舌が直にそこに触れた。私は声が漏れそうになるのを必死に抑えながら微妙な力加減で抵抗にならない抵抗を続けた。
「優衣……、待って。そこはダメ……」
「ふふ。那央さん可愛い……」
少しずつ自分が自分じゃなくなってくるのが分かった。夢なのか現実なのか、もう何が何だか分からない。頭にモヤがかかった状態で快楽だけに身を任せている。
そして私はそのまま優衣に犯された。
……のではなく、いつの間にか体勢が入れ替わって私が優衣を犯していた。
「那央さん、意外とエッチだったんですね」
「う……」
女性とこんなことをするのは初めてだ。まだ心臓がドキドキしている。脳が正常に戻ってようやく現実を直視できた。
途中で頭が真っ白になって幻覚を見た。一瞬だけあの人の姿を優衣に重ねてしまった。変な罪悪感で胸がザワザワするのはきっとそのせいだろう。最低な自分に嫌気が差す。
「ごめん。私も酔ってたから……」
「相性いいですよね? 私たち」
「え……?」
「セフレってことにしませんか?」
「え、待って。そんなつもりは……」
「そんな重く考えなくていいですよ。付き合って欲しいなんて言いませんから。ただのストレス発散ってことで」
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