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道後温泉より愛をこめて
8月21日
意識不明の重体だった寛子ママが亡くなった。
深雪とレモンは葬式に出た。
深雪は犯人は酒屋紀子に違いないと思っていた。
レモンは『氵』の意味が理解できなかった。5歳児の脳ミソしか持ち合わせていない。猫の爪痕だと思い込んでいた。
夕方、河野元署長が久々に会いに来た。
勘解由は『LEMON』の元メンバーだ。組織から嫌がらせを受けていた。来島たちに復讐を企んでいる。
「おじいちゃん」
レモンは河野を祖父だと勘違いしている。
「青二才には手を焼いてるぞよ」
河野は深雪に言った。
河野は『LEMON』の副長に就任した。
深雪は勘解由を倒すべく『LEMON』のメンバーになった。
現在、アジトは山下公園の近くにある。
最近、平岡が入ったのだが少しのことで泣く。河野は最近、腹の具合が悪く早退することが多い。帰るときに「帰るの?悲しい」って言って大泣きした。
レモンが何やらメソメソしてる。
「どうしたのん?」
「分からないんだ?でも、何か悲しいんだ」
「理由もなく悲しくなったり大人はあまりしないぞな?」
河野は首を傾げた。
午後7時、佐田岬が水爆を持ったテロリストによって占拠されてしまう。
愛媛滅亡の危機。
「ゴジラでも出るんじゃないぞな?」
レモンには映画と現実の区別がつかない。
ニュースの映像を笑いながら見てる。
「さっき泣いたのはテロを予知したんじゃ?」
深雪は子供には第六感が備わっていることを思い出した。
テロリストは全員で4人、その中に竜斗もいた。
松山タウンにある萬翠荘。大正11年(1922)に旧松山藩主の子孫、久松伯爵が別邸として建てたフランス風の洋館。シャンデリアや大理石のマントルピース、階段踊り場のステンドグラス……来島は豪華な屋敷だと気に入っていた。今年の4月、買い取ったばかりだ。
来島の元に長らく疎遠だった妹、まりえから助けを求めるメールが届いた。そこで、来島は妹が暮らす荘内半島へと急行した。まりえの自宅についた来島だったが、そこに彼女はいなかった。近所の人から「まりえの夫は少し前に失踪した」「まりえは要らないものを処分した後にどこかへ行ってしまった」という情報を得たが、まりえの行き先がどこなのか見当もつかなかった。
来島はまりえに家を貸し出していた女性の下を訪ね、まりえが菅田と名乗る男に誘拐されたと聞かされた。来島はすぐさま塩飽諸島の笠島集落にて菅田を探し出して問い詰めたが、菅田は何も知らないと答えるばかりであった。
塩飽水軍が本拠地とした港町で、しっくいの壁が連なっている。千本格子のある江戸の建物の主人から
その後、立ち寄った店の店主から「粟島をチェックしてみたどうか」とアドバイスされ、来島はそれに従った。粟島には昭和の終わりまで海員養成学校が存在した。
そして、ついに展望台でまりえの遺体を発見したが、遺体には凄惨な拷問を受けた形跡があった。
まりえの所持品をくまなく調べたところ、来島はまりえが菅田と一緒に映っている写真を複数枚発見した。怒った来島は笠島集落をぶん殴りに行った。格子に手錠で繋いである。
「お前を殴ったのは上役、鰓へのメッセージだと伝えろ」と言い、菅田の携帯を盗んでから立ち去った。
その後、来島はまりえの家の近所に暮らす山田涼真が開いたパーティーに参加して情報収集に励み、まりえが麻薬を買っていた売人の名前を突き止めた。来島は電停松山市駅から徒歩5分のところにある子規堂(正岡子規が17歳まで暮らした家)に小手絵里をおびき出して銃を頭に突きつけ脅しつけた後、彼女の携帯電話を盗んで立ち去った。
来島が宵闇の松山市駅にやって来ると、売春婦、有岡奈緒に出くわした。奈緒は来島が見て見ぬふりをしてくれたことに喜び、「私のベスパを好きに使って」と言ってくれた。
「『探偵物語』で工藤ちゃんが使ってたスクーターぞな」
来島はまりえの紹介と称して彼女が通っていた書店『田辺屋』の田辺信吾に接触した。正岡子規、夏目漱石、種田山頭火など松山ゆかりの文学者たちの本を扱っている。
田辺からまりえが夫の借金の埋め合わせに売春を強要されていたことを聞き出したが、どうにも釈然としないものを感じた。そこで、来島は田辺を尾行することにした。行き着いた先は道後温泉。
驚くべきことに、3階にある霊の湯の個室邸宅にはテロリスト水原玲奈の姿があった。。
レモンは粉雪が持ってきてくれた巨峰を食べた。深雪は普通の🍇を冷蔵庫から出したが、レモンは「おっきいぶどう」と言って巨峰ばかり食べている。
粉雪はレモンが可愛くて仕方なかった。
粉雪は道後温泉に来ていた。8月もあと3日で終わりだ。
階段式の湯殿、又新殿は皇室専用の浴室だ。桃山風の建築様式だ。
「気持ちいいなぁ」
さすが日本最古の温泉だけある。
木造の階段を降りて神の湯に入った。
湯釜には大国主命と少彦名の像がある。
漱石の『坊っちゃん』の中にも出て来る。
風呂から上がり、3階個室に向かった。
道後の町並みが広がる。入道雲がモクモクと湧いている。ヒグラシの寂しそうな声が聞こえた。シラサギ模様の貸し浴衣を粉雪は来ていた。お茶と坊っちゃん団子のサービスがある。さすが、3000年の歴史を誇るだけはある。
清楚そうな女性とインテリな男性がしゃべっている。
「田辺さん、あとは頼みましたよ?」
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