意識、なんて。

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「なっちゃーん、はよ」 朝、学校に来るなりぎゅうっと抱きついてくるのはクラスメイトの佐竹だった。 後ろからぎゅうっと抱きしめ、首すじに顔を埋めるこの男。 くっきりとした目に、鼻すじ通った彼は笑顔がよく似合う。おまけにこのふわっとした栗色の髪。 「佐竹〜おはよう〜!」 それはまさに犬としか言いようがない。 佐竹秦(さたけかなで) 高校2年生、私と同じクラスで彼が私に抱きつき、私が頭を撫でてあげる。これが朝のルーティーン。 あー可愛い。 あー癒される。 まるで大型犬のよう。全部、全部可愛いから受け入れる。 そんな甘やかし体質な私は新倉奈津(にいくらなつ)ふわふわした癖っ毛の髪は自分では嫌いだけれど。 「なっちゃん、今日も髪フワフワ触り心地いい」 この、今抱きしめてくる彼は好きだと言うからまぁいいかって思ったり。
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