第2話

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第2話

『そうか……分かった、今から皇居外苑の桜田門まで走って来い!待ち合わせは1時間後だ!』 俺は三鷹駅から中央線、丸ノ内線に乗り換えて霞ヶ関、そして桜田門へと走った。 息を切らせて桜田門へ着くと…… いかにも殺し屋の雰囲気のするサングラスを掛けた30代の男が待っていた。 その男は腕時計を見ながら「9…8…7…6…5…4…」とカウントダウンしているように見える。 「あのう……ひとごろ…し…の方でしょうか?」 男は聞く様子も無く……歩き始める。 「誰にも付けられなかったろうな?」 男は確かにそう言った。 「はい……誰にも……。」 男は注意深く周りを見渡した。 「付いてこい……。」 男は有楽町線、京浜東北線、根岸線と乗り継いで石川町駅で降りる。 男は横浜中華街に向かい、小汚ない雑居ビルの前で 一服する。 やはり周りを警戒している。 タバコを消すと 「コッチだ……。」 と案内された。 看板には『安心探偵社』と書かれていた。 俺の口角が下がる…… 「可笑しいか?」 「いえ……。」 事務所に入ると20代の女性がお茶を出してくれた。 「いらっしゃいませ……。」 男はサングラスをやっと取ると 「詳しい話を聞こう……。」と言った。 俺はイジメられてきた事、彼女が辱しめられた事を話した。 「それで殺したいと……?」 「はい……しかも自分の手で……。」 男は いつもと勝手が違うと言わんばかりに 「どうしても……自分で?」と聞いてきた。 俺は無言で深く頷いた。
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